総務省の調査(平成24年)によると、
育児中で仕事をしていない女性(20代から40代)の
約6割が働くことを希望しているそうです。
また、厚生労働省の調査では
出産、育児で離職していて現在は復職している女性で、
離職時に再就職を考えていなかったのはたったの5%。
回答者のほとんどが子育てをしながらも
いずれは再就職を、と考えていたのです。
実際わたしのまわりも
子供が小学生以上の友人はほぼ全員仕事をしています。
子供たちは放課後学童保育や実家
もしくは義実家に預けられています。
小学校も高学年になると
親が帰宅するまで家には子供たちだけ、
という家庭もめずらしくありません。
友人たちが働き続けるのは
実は経済的理由だけではないのです。
キャリアを積みたい。
家族も大事だけど自分の価値も追求したい、
社会で認められたいと思う女性が
すごく増えているのです。
今回はそんな彼女たちを
目の当たりにしながらも専業主婦になることを選んだ
わたしの葛藤をご紹介します。
目次
復職後に初めての子育てで仕事面での辛い事とは?
初めてわたしのところにきてくれた赤ちゃんは
もう言葉では描写しがたい存在でした。
小さくて弱くてわたしがいないと生きていけない、
自分の分身。
かわいくてかわいくて、
そしてはじめての育児にも奮闘しました。
長女はなかなか難しい赤ちゃんで
わたしはかかりきりでした。
しかし生後11ヶ月のときに
それまで勤めていたシフト制の職場に
復帰することがきまっていました。
長女をはじめて義母にあずけて
仕事にいったときのことは今でも忘れません。
朝5時に起きて授乳し、
夫があわてないために長女の身の回りのものは
前日に全て用意して6時半に家を出ました。
寝ている娘をおいて出て行くのは
ほんとうに辛いことでした。
お世話はすべてママでないとだめで、
わたしにべったりだった長女が心配で
義母に何度も電話しました。
次第に長女は義母のところに慣れてきて、
わたしたち夫婦もわたしのシフトにあわせて
夫が義母のところにつれていき、
早番ならばわたしが夕方むかえにいく。
遅番のときは夫が仕事のあと
義両親の家で夕食をすませてから長女と帰宅する、
が定着してきました。
半年もするとうまい流れができていきましたが、
シフト制の仕事をしながら子育てをするのは
想像以上に体力がいりました。
かわいい娘の寝顔を見ながら出勤、
夕方かえってきたら疲れきりながらも
買い物と夕飯の支度
夕食後も長女はわたしにべったりで
お風呂も歯磨きも着替えも
わたしでなければだめでした。
遅番のときは夜10時過ぎの帰宅でしたが、
必ず娘はぐずりながらわたしを待っていました。
ときには駐車場に聞こえるくらい
おお泣きしていることもありました。
義母は昼間は平気なのよ、でも赤ちゃんは
夜になるとお母さんがいいのよね、
と言っていました。
夜10時過ぎに帰宅、激務だったので
食事が取れていないこともあったのですが
疲れて限界の長女を寝かせるのが先です。
次の日がまた早番のことも多くあり、
数ヶ月すぎるころにはわたしは疲れ切っていました。
また、まだおしゃべりが上手でなかった長女が
頻繁にママ、お仕事?と聞くようになり
胸が痛みました。
子育てと仕事を両立の悩み!もっと長女や家族と一緒にすごしたい想い
子供がいないころはまったく気にならなかったのですが、
長女が生まれてからほんとうに嫌になったのが土日出勤。
シフト勤務ですから特別週末勤務の希望者がいないかぎり
全員平等に週末、祝日勤務がわりあてられます。
夫は土曜も仕事をしており
日曜しか家族水入らずで過ごせる日は
ありませんでした。
夫と長女が家にいるのに
ひとり仕事に行かなければならない。
仕事にいくのが本当に億劫でしたが、
もともと好きでついた仕事ですし
自分ひとりではないのだから、
と言い聞かせながらなんとかがんばっていました。
できることならずーっと長女とすごしたい、
でも再就職の不安が大きく、
家計ももちろん共働きのほうが楽なので
退職を考えたことはありませんでした。
2人目の誕生と義母の申し出!初めて育児で自己主張する夫
復職してから約1年と少しで
わたしは2度目の妊娠をしました。
激務ですが2度目でしたし
仕事は問題なくつづけていました。
やがて出産し、一度目と同じように
産後11ヶ月に復職すると約束して
産休に入りました。
しばらくすると義母が言い出しにくそうに、
もう年だし孫を何人もみてきたから
そろそろ終わりにしたい、
と申し出てきました。
もちろん同意しました。
義父も退職して10年ちかくたっていましたが
次から次へ生まれる孫の世話で
ろくに旅行もしていない義両親でした。
実母は遠方に住んでおり、
復職したら3歳になっている長女と
生まれたばかりの長男を
どこかへ預けなければなりませんでした。
すると普段育児と家事を大して手伝わないかわりに
文句もいわない夫がこんなことを言い出しました。
こんなに小さい子供達を、
しかも長男はまだ赤ちゃんなのに
母親から離すのはいやだ、お前退職したらどうだ、と。
夫は頑固でした。
子供はよそには預けないの一点張り。
自分は幼稚園にいくまで母親のところに兄弟といたそうで、
小さいころから親が共働きで
いつも祖母のところにいたわたしとは対照的でした。
普段は育児にも家事にも興味なさそうにしている夫が
真剣に意見してくれたことは嬉しくもありました。
子育てのために仕事を退職する葛藤と決断
そしてわたしは悩みました。
共働きのメリットは経済的に楽であること、
再就職の心配がないこと。
家庭以外にも自分の居場所があって
自分の価値を実感しながら生きられること。
専業主婦とちがって
その大変さや役割の重要さが認められやすいこと。
専業主婦というものがうまく想像できなかったわたしは
育児のために家庭にこもることに
大きな不安がありました。
自分ためのお金や時間がなくなって
おばさんまっしぐら
友達といえば子供を通した微妙なママ友のみ
話題は子供のことのみ
子育てから手が離れたとき
一気に自分が価値のない人間になって
家族にも社会にも見下される
具体的にはこんなイメージがありました。
でも子供達と一緒にいられる、
仕事のために体力をセーブしなくてもいから
おもいきり子供たちのことだけを考えて生活できる・・
決めかねて最終的に連絡したのは実母でした。
子供達にぜいたくな子供時代をという実母の言葉
前に述べたように実母は
あの世代には珍しいキャリアタイプです。
50代で会社をおこし、
定年をとっくに超えた今も取締役をしています。
子供のころは両親が家にいないのが当たり前で、
姉と妹、祖父母がいたので
寂しいと思ったことはありませんでした。
きっと母はなんとしても、
保育園に大金を払うことになっても
仕事を続けなさいと言うだろうとばかり
思っていました。
しかし母はこう言いました。
仕事をやめなさい。
子供が小さいときって
あっという間にすぎてしまうのよ。
大変だけどほんとうにここ数年しかない、
人生のうちですごく価値のある時間。
その短い間くらい仕事をやめても大丈夫だよ。
働くときは必ずまた来るから
こわがらないでやめなさい。
小さいときにいつもママがいるって
ぜいたくな子供時代になるね。
と。この言葉でわたしは退職を決意し、
1年以上がすぎました。
共働きをやめて専業主婦になって後悔?不安?現在のわたしは?
現在のわたしは専業主婦をして
育児と家事にどっぷりつかり、
それ以外のことは何もできない毎日です。
専業主婦なんてよくできるね
毎日なにやってんの?
生活大丈夫?
将来不安じゃない?
いろんな人にきかれます。
結論は、将来の不安はあるけど、
生活は苦しくなったけど、
仕事をやめて後悔はしていません。
母の言葉のおかげで、
毎日子供達にふりまわされて
ぐったりになりながらも
この大事な時間を子供達とすごせることに
感謝しています。
幸せのかたちは人それぞれです。
わたしは専業主婦をえらびました。
そして心からそれでよかったとおもっています。
判断に迷っている人に
少しでも参考になれば幸いです。