電子書籍化の波が
“紙の本”を徐々に追い込んできている今日。
それでも紙だからこそ読みやすい、
いつでも好きなページが開ける
といった、紙の本ならではを愛する人は
今も多いですね。
ですが紙は大切に保存していたとしても
少しずつ劣化する“モノ”ですから、
いつまでも新品の状態で
という訳にはいきません。
売る場合も黄ばみが少ない方が
値段は高いですから、
どうにかしたいところ…。
そこで今回は
筆者が書籍の倉庫保管会社で働いた経験をもとに
「本の黄ばみ」について徹底解説します!
家で出来る超簡単な漫画の黄ばみの取り方とは?
思い入れがある本なら、
可能なかぎりキレイな状態のまま
保存しておきたいと思ってしまいますよね。
筆者も倉庫業に勤めるまでは、
適当な配置にあった部屋の本棚に
本を並べていました。
すると1年も経つ頃には
本の天(てん)と地(ち)、
小口(こぐち)と呼ばれる
表紙と裏表紙に挟まれた紙の部分が
黄ばんでいたのです。
では黄ばんでしまったその“本”は
どうすれば元に戻せるのか?
結論から言えば
完璧に元通りにはなりません。
なぜなら、本の黄ばみを取るには
必ず“ヤスリ”をかけるからです。
会社であれば大型機械による研磨や
グラインダーという機械を使いますが、
一般家庭ならそのような機材は
必要ありません。
ホームセンターなどで売っている
紙やすりを使うことで
深刻な状態になっていない本の黄ばみを
取り除くことができます。
用意する紙やすりは
黄ばみを取り除く用のあら目の番号「400番」と
その後、本のキメを整える「1000番」がベスト。
筆者が自宅で紙やすりを使うときは
1000番に加えて1200番や1500番も
使用しています。
やり方は簡単で、まず
400番の紙やすりを優しく
天と地、小口にかけましょう。
くれぐれも一気に黄ばみを落とそうとせず、
少しずつ削っていく気持ちが大切です。
400番を使っても黄ばみが
まったく落ちていかないほど
色の付き方ひどい場合は、
修正不可能な状態と言えます。
見た目からも分かるように
かなり黄ばみが進行していますので、
悲しいですが黄ばみを取り除くのは
あきらめてあげてください。
400番で黄ばみが落ちたら
今度は1000番の紙やすりを
優しく細かい動きでかけます。
1000番よりも大きい数字の紙やすりをかけたい方は、
仕上げとして最後に使用し、
なでるくらいで大丈夫です。
紙やすりを使う、ということは
大切にしている本を自分の手で
“削っていく”ということ。
だからこそやり過ぎて、
本が変形してしまわないよう
力の入れすぎや、やり過ぎには
本当に注意が必要です。
また、天・地・小口に
色があるものや加工があるものは
絶対にヤスリを使用しないでください。
このような仕様の本は
研磨ができない種類の本になります。
家で出来る超簡単な漫画の黄ばみの防止法とは?
次は本を黄ばみから守る
方法についてですね。
本が黄ばんでしまう原因は
光(紫外線)や湿度、
ほこり、カビや虫です。
中でも“黄ばみ”に大きく影響するのは
光(紫外線)で、
筆者が務めていた会社では
紫外線のカットを徹底していました。
電球からも紫外線は発生している
とされているので
社内の電球がいっせいに
紫外線が少ないLEDに変更されたことも。
ご家庭で本を保存するとき、
本棚はなるべく陽の光が直接
当たらないようにすること。
そして遮光できるカーテンを
付けてあげればOKです。
これだけでも正面から
当たる光(紫外線)を
かなりカットしてくれますよ。
すぐ手にとって読まず、
保存したい本の場合も
陽の光が当たらない暗い場所を選び、
数十冊くらいずつビニール袋にいれたら
乾燥剤と防虫剤を添えてあげましょう。
服ではありませんから、
乾燥剤と防虫剤はにおいが少ないもの、
無いものを選んであげてくださいね。
そして年に1度で良いので
収納していた本を
「虫干し」してあげましょう。
服などの虫干しは
風通しの良い場所と陽の光を当てて行いますが、
本は陽の光が当てられないので
「風」だけ利用します。
部屋のカーテンを閉め、
陽の光が直に本へ当たらないようにして、
窓を空けます。
このときカーテンを閉めても
窓から風が入るように
カーテンの閉め具合を調整してあげましょう。
和室の場合は
紫外線カット効果付きの障子が
設置されている部屋を選んで行ってください。
風が入るように調整したら
扇風機を付けます。
本に風がふんわりと当たれば
それで十分です。
この状態で数時間放置し、
ビニール袋や乾燥剤・防虫剤を
新しいものに変えてから
収納すれば虫干し完了です。
まとめ
最後に、ほこりや汚れた表紙を
キレイにする方法もご紹介。
この方法で注意しなければいけないのが、
表紙の材質です。
和紙のように水を吸って
ゆがみやすいものや、
水に弱そうな手触りの紙が
表紙(裏表紙を含む)の場合は
使用できません。
ツルツルとしたコミックに
使われているような材質の本のみ
使える方法です。
汚れがひどくない場合は
ウエットティッシュで拭き取ったあと、
乾いたティッシュですぐに拭き取りましょう。
これだけで表紙の雰囲気は
かなり変わります。
本を売る時にはこうして
一手間を加えたいですね。
そして汚れがひどい場合は
「弱アルカリ性洗剤」を水で薄め、
布を使って落とします。
家にある住宅用洗剤、
例えばライオンのマイペットや
おふろのルックあたりが
弱アルカリ性の洗剤です。
水で薄めて使う際は洗剤の
濃度はかなり薄くてOK。
筆者はコップ一杯に2滴ほど
しか入れません。
汚れの落ち具合で1滴ずつ
足していっても大丈夫ですが
こちらも紙やすり同様に
やり過ぎには注意してください。
洗剤をふくませてしっかりと
しぼった布で表紙を拭いたら、
ウエットティッシュのときと同じように、
すぐに水分を拭き取ってあげましょう。
ウエットティッシュや
弱アルカリ性洗剤で
拭き取りをしたあとは
上でご紹介した虫干しの
方法でしっかりと乾かして
から収納してくださいね。